エロゲ、ノベルゲ英語学習最強ツール仮説

エロゲ、ノベルゲ好きオタクの語学実験記

1本目:ISLAND

ISLANDクリアしました。

 


公式サイト
http://en.frontwing.jp/games/island.html

 


評価

満足度85
英文難易度C(普通)

 

 


はじめに

結構前にSteamでセールになっていた時に買ったのですが積みゲー化してしまっていたので、ちょうどいい機会とばかりにプレイしました。
一応評判は聞いてたけど、・・・凄かった。
ここ最近やったエロゲ、ノベルゲで上位にくるクオリティー
序盤にして、未来から来たと宣言する主人公がすでに謎めいており、主人公、メインキャラからサブキャラすべての登場人物に関する情報量を徹底的に絞ってのミスリード連発。登場人物たちと共に、二転三転どころか十転、二十転でも足りないくらい転がされまくります。え・・・まじ・・・と容赦ないミスリード攻めをされるたびに脳内麻薬がドパドパ出るようなマゾな方にはかなりお勧めできます。
逆にミスリードで振り回され続けるだけでなく、能動的な思考である程度食らいついていけるような、もうちょっとパズル的な考察物が好きな方には、もう少し情報出してくれ、いい加減さっさとまとめてくれ、といった反応が出るかもわかりません。実は、実は、実は・・・のオンパレードです。
しかしまぁ私はめちゃくちゃ楽しめました。


語学的観点からの雑感

さて私はSteam版をプレイしたのですが、Frontwingの他の作品ろけらぶなどには備わっている英語、日本語、両言語同時表示のスイッチング機能は残念ながらついていません。Switch版はできるみたいなんですが。
なので英語テキスト+日本語音声によるプレイでした。基本的に英文は読みやすいです。それでいて語彙、表現自体は豊かなのでテキストレベルでの飽きは特に感じませんでした。(主人公の道化じみた言動が時々寒かったり不穏当な感じがしたりして、たまにうんざりしましたけど)なんだかんだで知らない表現が相当出てきましたが、ほとんどは大意を掴むのに支障なく、気になったところだけ調べたり、後の復習用にスクショ撮ったりして読み進めました。ただ英文はともかく単純に話自体が長めでかつところどころで理解力が要求されるので、今の自分の英語力だと読めなくはないけどややキツいかなというのが本音でした。

 


個人用語彙メモ

・wash up:自動詞&他動詞、(波が漂流物を)浜に打ち上げる
繰り返し出てくる語彙、表現と言うのは決して多くないものですが、これはよく出てくる。何が打ち上げられているかはお察し。

 

・spirited away:神隠しに遭った
英語だとこう言うんだという謎の感動

 

・break it to 人:人に伝える
後半の方になぜかこの表現が数回出てきました。このbreakの使い方は知らなかった。単に伝える、というより伝えづらいことを伝えるという時に使う感じかな。それでいて比較的カジュアルな場面。

 

・power cut:停電
blackoutは知っていたのですが、こっちは知りませんでした。

 

・get by:うまく通り抜ける。なんとか生きていく。
後者は本土へ憧れる夏蓮絡みでちょくちょく出てくるので使い方により馴染むことができました。

 

・hut:小屋、山小屋
作中で不気味な存在感を放っているあの「小屋」です。

 

・It's not as if ~:~な訳でもあるまいし。
結構出てきた表現ですね。It's not like ~と厳密にイコールではないかもだけど同じような意味かな。

 

・as much as ~:~するだけの量のもの 
知っているけどまず使えないだろう表現というのはよくあるものですが、自分にとってこれはまさにその類。対応する名詞が可算名詞同士ならas many as~でしょうか。
例文ごと取り込みたい。
This one is worth just as much as four or five of your small fry, right?
沙羅と釣り?に行ったときの沙羅のセリフ。対抗心を燃やす沙羅がなんか微笑ましくて印象に残りました。

 

・excitable:(人を主語にして)興奮しやすい
exitedでもexcitingでもないexcitable

 

・descend:~の子孫である、~に由来する
意味はたくさんあります。基本義は、降りる。下りる。ただこの「~に由来する」、とか「~の子孫である」の意味はまさに本作の重要なテーマなのでよりこの語彙に馴染むことができました。

 

 

 

作品についての感想

本作の特徴の一つ。それは世界観の壮大さ。
ライターごぉ先生の、三千世界ばりに風呂敷を広げようという狂気的な意気込みは伝わってきました。世界観を壮大にするためのアプローチの一つとして、色んな理論を随所で紹介しながら物語に織り込んできます。

 

 

 

 






他にもタキオンとかなんか色々あった気がしますが、時間も空間も社会もミステリーだらけで人の手になんか負えませんよと、執拗に語って聞かせてきます。

 

 

 

 

 

以下ネタバレを含みます

(未プレイの方はスクロール非推奨です)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてプレイし終えてみて、意外なことに感想が語りづらいことに気づかされます。
スリードが多すぎるため、驚いた箇所がありすぎて瞬間最大風速が必ずしもラストではなかったのです。…いやラストも流石だし、最後のあのCGにはかなり来るものはあったのですが、でも決して綺麗には終わらないんですよね。

結局その世界観を一言で言うと、タイムリープものという強烈なミスリードによる直線時間的ループ物、ということになるのでしょうか。似た題材としては『はるまで、くるる。』が真っ先に思い出されました。でも今こうして振り返って思うのは、本作の魅力はエンディングでも謎解きでもなく、謎に立ち向かい続ける全過程だなということです。だから綺麗なカタルシスとか伏線回収を期待する先入観を取り払ったときにこそあらためて作品の真価に触れられるような思いがするのです。エンディングも含めて、常に問題に立ち向かい、目標に向かっている。一方「終わり」を思わせるエンディングは全てバッドエンド扱いというのがまた意味深長です。ループを地獄的閉鎖ではなくて希望と挑戦の連続と解釈できる強さを訴える熱い作品だと私は思いました。

 


私が特に好きだったシナリオは冬編と夏編の紗羅ルートです。
この二ルートはヒロインが対極的だと思うんですよね。

冬編のリンネは解決をテクノロジーに賭けます。それがタイムマシンという奇想天外だったとしてもちゃんと夢を物質の法則で繋ごうとしています。

一方紗羅はというと、頭自体はいいと思うけど、その強烈な信念、思い込みに神職という家系の生い立ちが組み合わさって、理系リンネとは正反対の思考、行動様式。起こる出来事をことごとく思考実験、理論物理やオカルトと結び付けては、次々と整合性を取っていきタイムリープが起こっていることへの確信を強化。ついには自身と母の同一性を確信し、終わらない円環タイムリープ地獄に絶望するというトンデモ解釈に至ります。また少なくないルートで人殺しをします。

この対極が好きです。
紗羅のように頭だけ使って妄想を逞しくした先は絶望的に真実から離れた悲劇である。一方リンネはタイムマシン、コールドスリープに関わり、煤紋病の実態も知っていて、作中でおそらく唯一ミスリードされなかった人物、玖音その人です。しかしながら味わった悲劇も一入であり、ある意味唯一救われていない。どちらも動機は尊いのですが、悲劇に終わってしまうこの絶望的な二項対立。その弁証法的解決に切那が要求される。この謎の男は永遠に要求されるかもしれないし、いつか必要なくなるかもしれない。きっと現象ある限り彼はあらゆる世界と時間を奔走するでしょう。

 

 

 

各キャラについて一言


・凛音
THE 姫。
容姿、役回り、果ては声まで全部。
メインヒロインにして主人公と並んで最も感情移入しづらいです、個人的には。
世界と隔離している人ほど外側の人からの理解を得られないのは必然か。幼少期の記憶をほとんどなくしており、さらにコールドスリープのため世界と五年の歳月の差が生まれておりその間の記憶も曖昧。そのため基本的性格と切那と過ごした五年間の記憶が人格を形成しており、それは極端にシンプルで原型的と言わざるを得ないでしょう。それでもなお魅力があるのは姫だから。

 


・夏蓮
一番人間らしいというかバイタリティーがありますね。
旧態依然に反逆するマイノリティーという役回りに反して最も普通の魅力がある。

 


・紗羅
電波担当。と見せかけて一週回ってすごくかわいいしまともだと思うのは私だけでしょうか。バッドエンドの数々はショッキングだけど、あれは開けてはいけないシュレーディンガーの猫の箱であって、箱ごと愛するのがコツ。

 


・リンネ
かわいすぎ、ロリンネ最高!!という感想で済ませる誘惑に耐えて、あえてマイナーな点に触れたいです。

それはリンネの母親。わずかテキスト数クリック分しか言及されていないけど、凄まじい。そして後の玖音としてのリンネを想うと…。みんな大好き純真無垢で頭もいいロリッ子は、理性を超えた狂気の自己犠牲愛、母性と裏表。

 


・カレン
夏編と一番変わってなくてなぜだか安心。独立心とリーダーシップまで備わっていて、正統成長。売春業に革命家とここでも元気に体制に挑みます。マイノリティーにしてやっぱり一番普通。

 


・サラ
シュレーディンガーの猫の箱を開けて、猫が生きていたらこうなる。

でも夏編沙羅特有の電波がないから個人的には魅力は落ちると言わざるを得ない。

 


・玖音

…。

色々壮絶でなんて言ったらいいかわからないんですけど、本作で一番好きなキャラでした。